3話:ナカムラ、ヒーロー辞めるってよ……ってそこまでは言ってない!

「ぷっ………!

アハハハハハハハハハ!何このコント!

みんな面白すぎ~~!!」


「いや、私はやりたくてやってるわけじゃないんだけど」


黙って私たちのやり取りを見ていた千花。

しかし私はバ勝利にDIE SET DOWN(R-15指定)をし終えた後、千花は声をあげて笑いだす。


…………ん?DIE SET DOWN(R-15指定)って何かって?


フツーに殴ったんだよ。そう、フツーにね。



「いや………コントにも、なってないから。


俺………フツーに死にかけてるから。

立て続けに大怪我した上にノンたんのフルパワーでぶん殴られてるから。


………こういう役は、汚れ芸人のノンたんと勇騎さんの役割じゃん」


「「もう一発やられたいの(か)?」」


「サーセン」


ホントにこいつは一言も二言も余計なんだから………。



「ねぇ!それでセッテちゃん……だっけ?の歯ってどーやって直すの?」


「それはこの最強勇騎親方に任せろって!ゲホッゲホッ!」


「うわぁお………」


勇騎さんは自分の胸元を叩くと激しく咳き込む。

このダシの素がいつ親方になったのか、いつ最強になったのかはそんなもん知らないけども、それを差し引いても不安しか残らない。



「大船に乗ったつもりで待ってろよセッテ!」


「は、ハイ!!」


勇騎さんは1000円ザイアスペックを装着すると裏口から喫茶店を出てどこかに行ってしまう。


すると、しばらくして勇騎さんの「うぉぉぉぉぉぉぉぉ!!」という叫び声と共に、金属を削る音や火花が弾ける音が聞こえてくる。


正直、近所迷惑にならないか不安でしかない。



「だ、大丈夫かなぁ………?」


あー、ダメだ。不安でしかないわ。


本人は大船といっていたけど、これは完璧なる泥舟だ。




────そして、私の不安は見事に的中するのであった。
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