1話:魔法少女始めました!……ってなんのこと!?

───Re:BUILD SIDE ───


「これは…………!」


姫矢グループ管轄の研究所。


ここでは日々、様々な兵器が作られている。


例えばライダーや怪人の力を内包した新たなカプセル。

例えば他の組織から奪い取った技術で作り上げた改造人間。

例えば遺伝子操作により生み出される新たな生物兵器。


そして、目の前の“これ”は生物兵器というやつだろうか?



「実験は成功だ。なかなかいい出来だろ来栖。

……お前の花嫁にどうだ?」


目の前の試験管の中で眠る“ソレ”を見てポツリと呟く我が主、ジニア様。


「ご冗談を……。しかし、本当にあの小娘の遺伝子でここまでのことが出来るとは」


目の前の試験管に眠る“ソレ”は、年頃の少女の姿をしていた。
髪は銀色で透き通るように白い肌をしている少女。


そんな美しい姿をした“ソレ”の中身は得体のしれないものであった。


先日回収したノゾミ・ナカムラの遺伝子を元に、世界を救った『20人の英雄』たちの遺伝子と“星狩り族”………今は『ブラッド族』と言うべきか………の細胞、そして生物兵器である『溶原性細胞』。

それらの長所を選りすぐり、培養したノゾミ・ナカムラの遺伝子に組み込んで誕生した究極の生体兵器。


かつて組織に所属していた男がウェズぺリア出身の被験体を用いて研究を重ねていたものらしいが……その力は比喩など無しに単体で世界のひとつやふたつを“滅ぼせる”ほどのものだ。


ジニア様自身がその構成員を粛清し、研究資料を全て破棄したと聞くが、こんなものを用いて一体何を為さるおつもりなのか。


私には分からない。



───いや、分からなくていい。



私はただ主と決めた存在に付き従うのみだ。
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