「いやー、なんかはじめて会った感じがしなくてさぁ」


「………なにそれ？」


正直、私も同じことを感じていた。

この子とは初対面のはずなのに、何故か初めて会った感じはせず、むしろ懐かしさのようなものを感じてはいた。


まさか………この子も同じことを思っていたなんて。




「アタシたち、何かあるのかもね」


「な、なにかって………」


ふふっ、とはにかむように笑う千花に対し、私は思わず苦笑してしまう。


でも、本当になんなんだろう？


私たち、どこかで会ってたっけ？



「まぁ、いいんじゃない？細かいことは」


千花はぐっと私に顔を近づけると、私の顎をくいっと持ち上げる。



「ふぇっ！？」


これには思わず変な声が出てしまう。

凄く、綺麗な顔をしている。


そしてそれ以上に、千花は瞳が綺麗だ。


なんか引き込まれてしまう。初めて会ったというのに、このまま体を委ねてしまいたいと思ってしまうくらいには。



「…………」


………なんか背後から視線を感じる。


それも殺気に満ちた視線が。



「ちょ、ちょっと待って！」


私は千花から離れて、背後を見る。


そこにはハンカチを咥えたセッテが。


ていうか出掛けてたんじゃないの！？




「せ、セッテ！？」


「ははは☆ゴメンね」


そういって千花は私の肩を抱く。


それを見たセッテは…………




「キーーーーーーーーーーーッ！！！」


「セッテ！それは勇騎さんのお気に入りのハンカチだからーーー！

ていうか前歯！前歯ーーー！！」


ハンカチを咥えて悔しがるという表現は私たちの世界にもあったが、セッテは咥えていたハンカチを前歯を犠牲に引きちぎってしまう。



うん。この世界に来てからダシの素……勇騎さんを筆頭に奇人ばかり見てたから、セッテがかなり普通……むしろ地味なくらいだとは思ってたけど。



この世界の人たちに染められたのかな？

キャラ煮崩れてるよ、セッテ………。