2話:魔法少女としてがんばります!……ってどおしてだよォォ!!

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「さっ、いこっかヒメ!」


「イヌヌワンッ!」


結局満足するまで泣き続け、着替えを終える。

ウェズペリアからこちらの世界に来た時に着ていた赤いスカートとブラウスのお洋服。


何着か理緒から貰ってはいたが、それでもやっぱりお母さんが買ってくれたこのお洋服がお気に入りだ。


それに、私が故郷であるウェズペリアを感じることができる唯一のものになってしまった。



「………」


ヒメを抱っこしたまま、部屋を出て鍵をしめる。

階段を降りて、一階の喫茶店『BATTOLER 』に入る。


ここはアパートの2部屋を改装して喫茶店としており、ここで働く仲間たちもここのアパートで部屋を借りているといった感じだ。


私はヒメを抱っこしたまま、中に入るが誰もいない。



ドアには臨時休業を知らせる看板がかかっている。

昨日、奴らの襲撃があったから無理もないか。


そして内装は襲撃されたとは思えないほど綺麗になってる。



あぁ………昨日そこまで怪我してなかった理緒か勝利くん以外のチームバルチャーのふたりあたりが頑張ったのかな?




「誰もいないね」


「わぅー!」


なんか私だけが取り残された気分。

ひとりきりで。置いてきぼりで。仲間外れで。


なんかむなしくなってくる………。



「くぅーん?」


「あっ、大丈夫大丈夫!」


いやいや、『ひとりきり』ではないよね。

ヒメもいたよね!



「私は元気だよーーー!

ホラ!アバババババババババババ!!

アババババババババババババババ!!」


ヒメを喜ばせようと変顔をしておどける。

鏡がないからどんな顔をしているか分からないが、きっと間抜けな顔をしているのだと思う。


ヒメも喜んでくれる。これならもっと………。








「ぷっ…………バカなの?」


「!?」


私たちふたり以外の声が聞こえる。


男の声。恐らく最も今の顔をみられてはならない存在。



「かっ………勝利!?」


「………ゴメン、今最高にいい顔してたよ」




お 前 な ん で お ん ね ん !!



………ってなんで関西弁!?


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