2話:魔法少女としてがんばります!……ってどおしてだよォォ!!

「っ……!」


小鳥のさえずりが聞こえ、朝日が差し込む。


普段なら気持ちのいい光景なんだろう。

でも、今はそんなもの楽しむ気になれない。




またあの夢を見た………。



初めてこの世界に来て、あの男によって死の淵をさ迷っていた私とセッテを助けてくれた『あの人』………百瀬 彰一(ももせ しょういち)。


故郷を滅ぼされ、圧倒的な力に何もできずに敗北した私たちに立ち上がる術をくれた、恩人。



でも………私は恩を仇で返してしまった。



「………また………私は………」


頬を濡らした涙をぬぐう。



───あれは、傷の治療と私たちの特訓のために、彰一さんとその仲間の人たちと共に彼らの拠点となっていた国……『シャングリラ』にいたときの話だ。


平和な国だと思っていた。

だが、シャングリラには『三戒』と呼ばれる国民が共有する教えがあり、それを遵守するあまり、争いなど起きない、起きようがないと国民たちは盲信していたのだ。

だが、そんな太古の昔に刻まれた埃だらけの教えなど他国には関係のない話だ。


やがて、シャングリラの隣に位置する国『レギナサギッタ』がシャングリラを攻めてきたんだ。


でもシャングリラの国民たちは争うための力を持とうとすらしなかった。


だから私は彼らを煽動した。


『護るために戦うべきだ』と。

『他でもない自分の国を護れ』と。



国民たちは立ち上がった。
自分の国を護るために。



でも………敵は強すぎた。

私たちも全くかなわなくて………それで…………





──気がついた頃にはシャングリラの国は炎に包まれていた。


私の腕が私を救おうとしてくれた彰一さんの体を貫いていた。



私の力が“暴走”したんだ。

力が欲しくて、力を望んで。



……その結果が最悪の結末をもたらしたんだ。






私は敵どころか、シャングリラの国民を………


そして彰一さんを…………





────この手で殺したんだ。







そして、私は彰一さんの最期の願いを叶えるべく、ここに来た。





彰一さんのたった一人の息子さんを………


百瀬 勝利(ももせ かつとし)くんを………

いや、椿 勝利くん……仮面ライダーヴァルツを導くために。





でも……私でいいのかな?




こんなことで、彰一さんに……

そして遺族の勝利くんに……償えるのかな?



私はその答えを、未だに出せずにいる。



そして私は……“この現実アヤマチ”すら未だに告げられずにいる。
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