2話:魔法少女としてがんばります!……ってどおしてだよォォ!!

「あぁぁっ!ネスたんひどいだっちゃー!」


「………黙ってろ」


爆炎が晴れ、中から黒こげのプリティ☆のぞみんと巨大タコが現れる。

あれほどの集中放火だというのに、黒こげになっただけでそこまでダメージはないようだ。


だが、奴は小粒のタコ共がやられ涙目。



全く鬱陶しいことこの上ない。



もはやこれをノゾミ・ナカムラと呼んでいいのかは怪しい。

そして……何より哀れとしか言いようがない。



「ふーんっだ!ネスたんのいけず!

やっちゃえ!デカのぞ!!」


「のぞぉぉぉぉぉん………!」


怒ったのか、奴は切り札であろう巨大なタコが動き出す。


あの小粒のタコもこの巨大なタコも巨大な力を持つが故、エクスライザー無しではノゾミ・ナカムラに使役することはおろか呼び出すことすら不可能。

仮に呼び出せたとしても自分が呼び出したタコによって殺されるのがオチだろう。


ふざけた見た目をしているが、プリティ☆のぞみんはデュアルフュージョン体。“ライダーを超えた存在”。


その力は伊達ではない。



「のぞのぞのぞのぞのぞぉぉぉぉん!!」


その無数の触手から放たれる怒濤のラッシュ。

その一撃一撃があまりに重く、凄まじいほどのスピード。

小粒ですらあの威力だ………当たれば即死。


それを証拠に奴の一撃に触れた地面が大きく抉れていく。


そしてスピードもデュアルフュージョン体となった私ですらかわすのがやっとのスピードだ。

私たちと敵対している雑魚共はもちろん、呼道勇騎にも赤津将にも回避することがかなわないであろう。



だが、エクスライザーとライダーカプセルによって強化された全ての能力と、私の未来予知に勘と経験と技術………それらを総動員することではじめてその全てを回避しているのである。



「………なるほど。確かにこのエクスライザーはいいものだな。

今までの私ならこいつにすらかなわなかっただろうな。


だからこそこれは私からのお礼だ。


美味しいたこ焼きにしてやる………!」


攻撃を対象しつつ、私はガイアメモリを取り出す。

このネバーエンドジェスターの固有能力のひとつだろうか………戦いの中で気づいたのだが、エターナルのマキシマムの影響によって自身のガイアメモリが使用不可能にならないためのものだろうか。


今まで所有していたメモリの全てがエターナルのマキシマムの効果が受けないように“進化”しているのだ。



《EGG&CHICKEN!MAXIMUM-DRIVE!》


……無論、こいつも。


今までも猛威を振るったメモリだったが、デュアルフュージョンによって進化することで更なる力を手にした。


だが、それだけでは終わらない。



《DESPAIR!》


私の相棒、ディスペアーメモリもだ。

だが、今回はこのまま使うつもりはない。



《EXCEED DESPAIR!MAXIMUM-DRIVE !》


私の“念”と共にディスペアーメモリは“極限の絶望”エクシードディスペアーメモリへと変化する。


これは元々私の世界でディスペアーメモリがエクシードディスペアーメモリに進化していたのだが、あの男……ジニアによりディスペアーメモリに退化させられてしまった。

それ故に本来の力を取り戻すためには使用時に私の“力”を注がなくてはならない。


そして………ネバーエンドジェスターの力によって、エクシードディスペアーメモリは元の世界にいた時のエクシードディスペアーメモリよりも進化している。



《REACTER!MAXIMUM-DRIVE!!》


最後はリアクター。
手に入れた当初から強大な力と引き換えに使用者の身すら焼く扱いづらいメモリであったが、進化を果たすことで更に凶悪な力を手に入れた。


そして我が身をも厭わぬ力が解放され、全てが整った。



「沈め…………!

極限に至りし絶望の牢獄エクシードディスペアージェイル………!」


技の発動と共に、白銀に輝く巨大などんぶりが巨大なタコを閉じ込める。



「のぞっ!のぞぉぉぉぉぉん!!」


牢獄と化したどんぶりの中で必死に暴れる巨大タコであったが、もはやどれだけの攻撃をもってしてもこの牢獄に傷ひとつつけることなど不可能だ。



「これでサヨナラだ………!」


「のぞぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉん!!」


「デカのぞぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉ!!」


バカの泣き叫ぶ声と、タコの断末魔。


牢獄の中ではリアクターの力でヒートやアクセルを遥かに上回る熱量で閉じ込めた敵を焼きつつ、エクシードディスペアーとエッグ&チキンで確実に圧殺する。


これが極限に至りし絶望の牢獄エクシードディスペアージェイル



ノゾミ・ナカムラごときに真似など出来ない私だけの奥義によって、巨大タコはタコ焼きどころか、熱々の海鮮丼となったのだ。
61/84ページ
スキ