2話:魔法少女としてがんばります!……ってどおしてだよォォ!!

「自分“で”やらなきゃ、自分“が”やらなきゃ………

あんたはいつもそうだ。1人よがりで…………。


何が“仲間”だよ。

仲間だの絆だの言っておいてあんたがその仲間を遠ざけてんじゃねぇか!」


「お前っ………!」


勇騎さんは俺に掴みかかってくる。

俺の言葉に逆上したんだろう。


だが、その瞳には怒りではなく、戸惑いや不安が見えかくれしている。



あぁ、そうだ………この目は知っている。



“あの日”の俺と同じ目だ。

ノンたんたちに居場所を奪われたと思ってたあの日の俺。

誰にも頼れなかった、頼る勇気すらなかったあの時の俺だ。




「………あんた言ったよな………“仲間は断ち切れない”って!

自分で言っといて何勝手に壁作ってんだよ!

あんたはそんな臆病者じゃねぇだろ!」


「うるせぇ!!」


勇騎さんから振るわれる拳。

俺はそれを受け止める。

どこぞの格闘家でもないが、勇騎さんの拳から勇騎さんの“不安”が伝わってくる。


だからこそ…………だ。


だからこそちゃんと伝えなきゃ。



俺は………俺たちはもうあんたに頼りきりじゃないって。



「いい加減目ぇ覚ませ!!」


「っ!!」


勇騎さんの頭に頭突きを放つ。

これには勇騎さんも胸ぐらを掴んだ手を離してしまう。



「………これを言ったのもあんただったよな。

“辛いときくらい辛い“って言えって……


あんたはどうなんだ…………今、辛いんじゃねーのかよ………」


「………」


「………辛いときくらい、辛いって言えよ!!」


拳を握り、駆け出す。

変身もしていないから、その動きは情けないくらいに鈍重でその癖、ひ弱だ。


だが………その浮かない顔に一撃を叩き込む事くらいはできる。


……というか、その一撃に全てをかけている。




「……あぁぁぁぁぁぁ!!」


その一撃は勇騎さんの頬を捉え、勇騎さんを殴り飛ばした。




───それと同時に俺の視界は再び光に包まれるのであった。
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