完結編

「ジッ………………シ…ョ………………リ"………………


にぃ…………ちゃ…………………ッッ!!」


「あぁ………っ………!!」


カズの………弟分の体がまるで蒸発するかのように崩れ、光となって天へと舞い上がっていく。

その光はコイツの命の光。


駅の子として大人たちに弄ばれながらも決して笑顔を忘れなかった、人懐っこい弟分そのもの。


大人の都合でこんな姿にされ、最期まで報われることなくその命を散らされる。



───見ていることしか出来なかった。



どれだけ強い力を手にしても結局何も護れない。

仲間がまた………俺のもとを去っていく。




俺たちは…………なんで……………。




「………カズゥゥゥゥゥ!!

…………ッ!!!」


その瞬間、カズの………いや“カズだったモノ”の体がより一層光輝いた。

そして周囲の空気を呑み込んだかと思えば、大気を揺らす轟音と共に炸裂し、爆風と目映い光、熱が放たれる。



俺の体は爆風に吹き飛ばされ、何度も地面に叩きつけられればその衝撃で変身が解除されてしまった。



顔を上げてみるとそこにはもはやカズの姿はなかった。


………跡形もなくこの世から追放されてしまったのだ。




「おやおや………おやおやおやおや。

折角、ラベルに書く名前を聞き出せたというのに。

まぁ、いい…………所詮は二束三文の命。

代わりはいくらでもいる」



「……………

…………代わり…………?」


“二束三文の命”。
“代わりはいくらでもいる”。

目の前の悪魔は淡々と言葉を紡いだ。



散々俺たちの人生を弄んで、最期はそれか。


怒りがスーッと静まっていくのが分かる。

奴に抱いていた恐怖も消え、焦りも、悲しみも………消えていく。



俺は体の痛みも無視して、立ち上がる。




「…………君はァ…………私を楽しませてくれるんだろう?」



「……………

…………………………………ハハハッ」



「…………?」


流石のナイメアも俺を訝しげに見てくる。



…………ダメだ。笑いが込み上げてくる。


クソみたいなケダモノに人生を狂わされて。

クソみたいな大人に弄ばれて。

クソみたいな生活を強いられて…………。




なんなんだ、俺たちは。


俺たちはやっぱり二束三文の命か。





─────本当に、笑えてくるよ。









「アハハハハハ………


アハハハハハハハハハハハ!!



……久しぶりだよ。




─────こんなにもアンゲロスを殺したいって思ったのは」


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この時、俺の中で“何か”が千切れ、腐り落ちた。


もはや………止める気などない。






────コイツは、ここで殺してやる。
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