完結編

“リンク”。

目の前に現れたソレの名前だろう。


落武者、または骸骨騎士と表現すればいいのだろうか。


骨を模した異様に長い刀を引き摺りながらユラリ………ユラリと歩み寄る。



先程のアルティメットクウガやサウザーが可愛く見えてしまう。


その不気味な姿を見て、ようやくわかった。



───奴は“怨霊”。

死して尚、戦いと血を求めさ迷う怨霊。




「っ…………!」


手が、足が振るえている。

死線なら今までにも、いくつも潜り抜けてきたつもりだ。



ジニアを含めたRe:BUILDの連中や“あの死神”にも殺されそうになりながらも生き延びてきた。

そして戦い抜いてきた。



それでもコイツは………そのどれともヤバさのベクトルが違う。



コイツのヤバさは………!




「……さて、舞踏会はこれからですよ」


「ぐっ!!」


胸元に走る痛み。

それを感じた刹那、すぐ目の前に奴がいることに気付く。



何を言っているか分からないかも知れない。

でも仕方ないんだ、今目の前で奴と戦っている俺自身が“何が起こっているかすら分かっていない”のだから。



ただこの状況を表現するのなら、『奴の姿を捉えるより速く、奴の刀が俺の体を切り裂いた』と言うべきか。



………それほどにまで奴の太刀筋は鋭く、速いのだ。




「おやおや………次代の王といえど、所詮は駅の子。

ただ成す術もなく悪意に振り回されるだけの子供、という訳ですか………」



「くっ………!黙れ………!

黙れ黙れ黙れ黙れェェェェ!!」



───速すぎる。

シンとアマゾンの力で身体能力や五感をフルにあげているはずなのに、全く奴の剣戟を捉えられない。


Re:BUILDの幹部たちによるとこのエクスライザーで既存のライダーシステムに遅れをとるのはエクスライザーの使用者側に問題があるという。


つまり、俺と奴の力量の差に埋めようがないほどに開きがあるということだ。




「あぁぁぁぁぁぁぁ!!」


俺は必死に奴の剣戟を耐え、反撃に転ずるのだが、俺の攻撃は奴の片腕により防がれてしまう。




《MONS LINK !GREN GRAPHITE BUGSTAR!》


その直後に奴の剣から紅蓮の炎が吹きあがる。

そう、この技はコイツと同じように戦いに身を委ねた剣士の力。



………まずい。この攻撃を喰らったら………!





「紅蓮爆龍剣…………!」


しかし、俺にそれを回避する術などありはしない。


でも、やられっぱなしは性に合わない。

回避出来なくても防ぐことくらい出来るはずだ。




《エクスライザーパニッシュ!!》


右腕のスパインカッターを高速振動させ、エネルギーを集中させる。

そして五感を更に研ぎ澄ませ、奴が次に刀で切りつけてくる場所を予測する。


そして奴の炎を纏った剣が振るわれる中、こちらも奴から距離を取りつつ、スパインカッターを振るう。





「だぁぁぁぁぁぁっ!」




「っ!…………おやおや」



スパインカッターと奴の刀がぶつかり合う。

ここにきて、ようやく奴の刀を捉えたのだ。
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