完結編

「なっ………!」


「っ!!」


これはヤバいと思ったのか、リベルとクロスは奴から飛び退き、間合いを取る。


見てくれは人間。だが中身は“怪物”。

むしろ人間の皮を被っただけのバケモノだ。




「おやおや……。貴方たちはまだ変身していると言うのに。

……そんなに構えなくてもよろしいでしょう?」


パチンと指を鳴らす音が響く。


ソレを合図に現れたのは、全身黒ずくめの“異形”。

パワードスーツのようなものを着て、ギリシャ文字かロシア文字のような独特な記号を象った光るラインを持つ仮面の大男が8体。



………ダメだ!俺たちは既に囲まれており、逃げ出す隙すらない。




「…………せっかくですから穏便にティータイムといきましょうか。

特に貴殿方3人とは一度ゆっくりと話をしたいもの。

椿 勝利、赤津 翔、そして呼道 勇騎。御同行願います………。」


「穏便?何いってんだ……!

お前が穏便なんて言葉使ってんじゃねぇよッ!!」


やたらと『穏便に』という言葉を強調するナイメア。


………ほんの少し戦っただけだが分かる。

この男は生粋の戦争屋ウォーモンガー

穏便に済ませることなど、本心でないことくらい俺にだって分かる。


先ほどまで俺と剣を交えたいとか抜かしていたくせに、今度は敢えて勇騎さんを挑発して苛立たせようとしているように見えるが………なんのためだろうか?




「ふふふ………貴殿方に選択肢はありませんよ?」


「てめぇ………!!」


かつての宿敵の登場に冷静さを欠いているのかリベルライザーは強化アイテムである『エデン』を取り出すがクロスに阻まれる。




「お前!なんで止めるんだよ!?」


「………あいつとの関係は知らねーが、今は頭を冷やせ」


「………っ」


ナイメアの手には端末がひとつ。

その端末の画面には、BATTOLERの店とそれを囲む仮面の大男たち。


俺たち3人が、ナイメアひとりにこの有り様なのにさらに相手の数が増えてしまってはこちらは明らかに不利である。


逃げ道も絶たれ、倒すことも出来ない。
そして人質までとられている。


相手が何を考えているか分からないが、ここは相手の要求を呑むしか……ない。



俺たち3人は変身を解くと、ナイメアと8人の大男に乗せられる形で、奴の拠点へと連れられていくのであった。
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