完結編

「えぇ…………使用者を仮面ライダーをも超えた存在へと変えるエクスライザー。


そして、貴方は“次代の王”の力を受け継ぎし者。



───これほど私の相手に相応しい存在もいない………!」



「っ!そんなもん知らねぇよ!!」


今度は視界が緑に染まる。


俺の右腕に魚人を思わせる彫刻が現れるとそれが銃へと変化。

それと同時に足場にアクアフィールドが形成される。

資材倉庫の中に湖が形成されるというなんとも不可解な現象が起こるのだが、この湖……アクアフィールドこそがこのヴァルツの姿を構成するライダー……キバの派生形態のひとつ『バッシャーフォーム』の力を100%発揮させてくれるのだ。


俺の手にはそのバッシャーフォームのメインウェポン『バッシャーマグナム』。




──この一瞬で、準備は全て整った。




「はぁぁぁっ!!」


アクアフィールドの上をまるで滑るようにして高速で動き回りながら銃弾を浴びせる。

こちらが高速で動き回るだけではない。

アクアフィールドによって奴の動きに制限をかけることができるのだ。



「フフッ………やりますね………」


しかし奴は行動を制限させられながらもその腕に業火を宿し、俺目掛けて放ってくる。


威力はもちろんのこと、その攻撃のスピードも恐ろしく速い。



「マズいっ……!」


攻撃を回避すべく、慌てて形成された湖の中へと飛び込む。

アクアフィールド本来の使い方ではないが、湖を形成してしまえばこうやって潜水も出来るのか………。



「ははは………素晴らしいですね、やはり貴方は。

“他の子供たち”とは違う。


………“呼道勇騎の再来”と言うべきでしょうか。



どこまでも私を楽しませてくれる………!」


集約される業火。

圧倒的な熱量と光を放つソレはまさに太陽の如し。


ほぼノーモーションで離れたそれはアクアフィールドから浮上し、攻撃に転じようとした俺目掛けて放たれた。



「っ!!」


《キバ!バースト!》

《バッシャーバイト!》


こちらも負けじと必殺技を発動………というより発動せざるを得ない状況となった。

咄嗟に俺の脳波に合わせてカプセルの力が発動すると、バッシャーマグナムに水のエネルギーが収束され、放たれる。


どうやらこのエクスライザーはこういう緊急時の対応のためにわざわざエクスライザーを読み込ませなくても技を発動出来るようだ。



…………無論、カプセルを読み込ませた時よりその威力は劣るのだが。




「あぁぁぁぁっ!!」


その結果、ダメージは最小限に済ませることができたが力で押し負けてしまい、吹っ飛ばされてしまう。


壁に激突する俺の体。



これにより、アクアフィールドも泡沫の如く消滅してしまう。




「勝利っ!」


「ぐっ……

つ………強すぎる…………!」


壁から引き剥がされ、地面に崩れる俺の体。



最強クラスの仮面ライダーの力を十全………いや、それ以上に使いこなす目の前の男。



ここまでだと、そもそも最初から人間だったのかどうかさえ怪しい。



───これが、勇騎さんの好敵手をつとめた男の実力か。




「これじゃ、本物のバケモノじゃねぇか………!!」
8/25ページ
スキ