前編

「………じゃあ頂きます」


マグカップを受け取ろうと手を伸ばす。

そして触れ合う手と手。



「あ……………」


「……………///」


頬を朱に染めるノエル。

それを見てたら俺もなんか恥ずかしくなってきた。

でも唯一の救いは今この場に俺たち2人以外誰もいないということだ。


あれ?俺たち2人だけ…………?



「ーーーーーーーーーー!」


それを意識した途端、顔が熱くなっていくのが分かった。

心臓もなんかバクバクする。

緊張してるのか俺は。



「………の、ノエル………」


ふとノエルの方を見てみればノエルは今迄見たことがないくらいに顔を真っ赤にして俯いていた。

彼女も同じくらい恥ずかしいんだろう。

俺は何を思ったのか受け取ったマグカップをテーブルに置くと彼女の両肩を掴む。




「………勝利…………?」


彼女はびっくりしたかのように顔をあげる。

紅潮した頬に潤んだ瞳。

それを見ただけでどうにかなってしまいそうだ。

そしてノエルは静かに目を閉じる。




「……………」


俺も目を閉じる。

落ち着け、俺…………。

そして少しずつ顔を近づけていき…………






「……オイオイ、ガキ共がこんな夜にラブロマンスかよ」



「………将さん……!」


将さんの声が聞こえ、固まるノエル。

そして俺は…………


「く…………


く…………くっ!


空気読めやァァァァァァ!!!」
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