後編

次にUSBメモリをPCに接続し、今度は戦闘データを閲覧する。


先程のヴァルツやクロスとの戦闘の映像と黒い鎧武者ことプロトトランセンドのパラメータが表示される。

攻撃力こそ我々が求める水準に達しているが、やはり装甲の薄さが仇になっているのが分かった。



「……ヒヒイロノカネでもこの程度だったか」


ヒヒイロノカネとは『カブトの世界』のマスクドライダーシステムの装甲に使用されている未知の金属だ。

その強度は仮面ライダーカブトなどのマスクドフォームの防御力でお墨付きだ。

だが、その装甲もヴァルツのパワーの前ではまるで歯が立たなかった。


まさに最大の敵は『俺自身の才能』という訳か。

何せ、エクスライザーやその雛型であるエクスドライバーを開発したのもこの俺だからな。




凄いだろ?最高だろ?天才だろ?



………なんてナルシスト全開のジョークを言う気にはなれねぇかな。




「ふぅ………」


報告書や戦闘データを元にプロトトランセンドの改造案を纏めてゆく。

そしてコーヒーを飲み、一息。


俺が一番油断する時間だ。そして一番充実した時間だ。


この時間を邪魔する者は何人たりとも許さない。


それが俺のポリシーだ。







だが………。





「随分と楽しそうですね、ジニア」


直後、誰もいないはずの部屋……しかも俺の背後から声がした。
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