前編

やがて視力が回復し、辺りを見回すと分身たちがいなくなっていた。

クロスにやられたのだろう。



「調子に乗り過ぎだ、馬鹿野郎」


「………いってぇな、
あんたホントに手加減てモノ知らないよなぁ」


そういえば将さんに初めて出会った時もこんな風にボコボコにされたっけ。

それであの時は悔しくってベソかいたりしたっけ。



「手加減してもらってそれで勝ったって嬉しくねぇだろ?」


「まぁな…………」


そうだ………俺はあの時の俺とは違う。

仲間たちと苦しい戦いを潜り抜けて、自分の弱さを知ってひとまわりもふたまわりも大きくなれたんだ。




「将さん………今日こそ、あんたを超えてみせる!」


「その意気だぜ、椿!」


《エクスライザードラグーン!》


《マイティアクションCX!クリティカルマイティストライク!》


互いに必殺技を発動するとクロスの頭上には必殺技ゲージのようなものが現れ、俺の背後にはド派手なエフェクトを纏った龍が現れる。

そして必殺技ゲージが最高潮に達すると同時に俺たちは飛び上がり………




「「ハァァァァァァァァァァァァ!!」」


クロスは空中で一回転して勢いをつけてのキックを、俺は龍の炎に押し出されながらキックを放つ。

そして………眩い光が辺りを包んだ。
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