Chapter.4 ふたりなら

「……で、その前に教えて欲しいことがある」


「ん?どしたん?」


「“自分たちの目的”ってなんなのさ?」


まずはこれを聞かないと。
彼女が悪い人だとは思えないけど、彼女がどんな目的で俺を探していたかは知っておく必要はある。

俺は彼女に、その目的について訪ねる。



「………あんた、仮面ライダーとしてアンゲロスと戦ってたならわかるやろ……?

姫矢の街にヴァイトップをばらまいて、街の人間をモルモットにして実験を繰り返していた姫矢グループ。

その姫矢グループにも派閥があって、この世界全てを事実上支配した『姫矢 喜一郎(ひめや きいちろう)』とその息子の『姫矢 雅紀(ひめや まさのり)』……。

2人はすべてのハルシオンコアをその手に収め、この世の全てを手に入れようとした………

そしてその内部抗争を先導し、2人の憎しみを利用し血の聖誕祭を起こし、ハルシオンの力を目覚めさせたのがジニア………

ここまでは合っとるな?」


「うん…………」


ここまでは彼女の言うとおりだ。

姫矢グループはこの街を箱庭として、実験を行っていた。
アンゲロスゼロの忘れ形見たるヴァイトップをばらまき、力を失ったハルシオンコアを覚醒させ、ゆくゆくはハルシオンの力そのものを手に入れるそのための実験………俺たちはその実験に巻き込まれた。

だがそれは姫矢市の住人を巻き込んだ実験から、あの男……ジニアが独自行動を開始したと同時にそれは姫矢の内部抗争へと変わっていった。

結果、姫矢 雅紀の派閥は滅び、結果的に姫矢 喜一郎がこの世界を支配し続けることとなった。


自らの権力を維持するためだけに、実の息子の命すら容易く奪う………。

それがこの世界の支配者。


そして………俺の父親だ。



この街の、いやこの世界の支配者が,この世界に悪意をばらまいた張本人が、欲望のままに自分の愛人に産ませた子供……それが俺、松本道紀。






そして、俺の体には………









────アンゲロスを産み出した青のハルシオンコアが埋め込まれている。




あの戦いの全ては俺を中心に始まったこと。

そして対を為す赤のハルシオンコアが覚醒した時、血の聖誕祭が起きたんだ。



「………ジニアは独自で動いてて、俺や他のライダーたちに度々接触しては姫矢と戦うための強化兵装をくれた。

そのおかげで姫矢グループのライダーたちやアンゲロスと戦えたのは事実だよ。

でも、それも奴の計画のうちだった」


ジニアが俺の前に現れたのはたしか、鳴滝サクラ………フォルスと戦って少し経ったくらいだったと思う。
最初は奥場流……ゼクストと真由先輩のふたりをサポートしている物理学者として流くんたちから紹介された。


『佐藤俊夫(さとうとしお)』という今聞けば偽名だと丸分かりな名前と、他の誰かの容姿をコピーして俺たちに接触してきたあの男は、自身が発明したアイテムよって俺たちを何度も窮地から救ってくれた。



だからこそ今日まで戦ってこれた。


だから俺たちは奴を仲間だと信じていた。



でも………俺たちは奴を信じてはいけなかったんだ。
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