Chapter.3:ゆりかちゃん

「「っ!!」」


──パワーは互角。

ぶつかり合ったエネルギーが弾け、周囲のものを吹き飛ばす。




「負けるか……っ!」


「こっちの台詞だ………!」


ぶつかり合いにより、アークリムに皹が入っている。

それが……奴の攻撃による衝撃を物語っていた。


しかし、それがなんだっていうんだ。



つばぜり合いのまま、弦をおもいっきり引き絞り矢を放つ。



これが弓型の武器の最大の利点。

近距離武器としてはリーチは純正の刀剣型武器としては短いが、遠距離型武器としては純正の銃型武器より連射性に劣る。


しかし、その形状故に遠距離と近距離の切り替えを可変機構を搭載した武器よりスムーズに行える。



そう、このように不意打ちをすることだって。




「ぐっ………!」


流石にこの不意打ちにはジル………魔蛇も対応出来なかったようで、頭部に矢が当たり大きく仰け反った。




《メロンエナジー……スカァッシュ!!》


「だぁぁぁっ!!」


───その隙をみすみす見逃したりはしない。


ドライバーを操作し、エネルギーを右足に蓄積すると回し蹴りと共に体勢を建て直そうとした奴に叩き込む。



奴は咄嗟に刀で防ぐものの、こちらの必殺の一撃には耐えられず大きく吹っ飛ばすことに成功する。





「ぐっ…………!」


「はぁぁぁぁっ!!」


《メロンエナジー……スカァッシュ!!》


さらにダメ押しの一撃。

ドライバー操作によりアークリムにエネルギーをチャージすると、それを斬撃波として撃ち出す。




「………っ!!」


《魔蛇オーレ……!!》


流石にこの程度で終わる奴ではない。

魔蛇もドライバー操作するとその刀剣型武器に無数の蛇を模したエネルギーを纏わせるとそれを振るう。


蛇がこちらの放った斬撃を噛み砕くと、こちらに向かって飛んでくる。


四方八方からの蛇よる波状攻撃。


斬月・真の武器だけではこれを防ぐ手だてはない。





「………っ!!」


《メロンエナジー……スパーキングッ!!》


さらにドライバーを操作し、一度鎧を果実形態へと戻し、俺の頭から外す。

それを右腕に嵌め、再び展開させるとさながらプロペラの如く回転しながら奴の放った蛇を切り裂いていく。


そして再びそれを頭から被れば再び鎧となる。



これがアーマードライダー共通の緊急回避を兼ねた攻撃方法………らしい。




「やるじゃないか……流石は姫矢市の仮面ライダー………!」



「姫矢市の仮面ライダー、か…………

………………昔の話だよ」


───奴は確かに強い。

あのタイミングで俺のキックを刀で防いでダメージを最小限にし、斬撃波をそれを上回る攻撃で防いで更に反撃までしてきた。



だが…………俺は負ける訳にはいかない。




優里香ちゃんは俺の大切な友達。


ひとりぼっちで………これ以上苦しめたくなんかない。


だから…………!




《SET UP!》《SET UP!》


俺とジルは同時にジュエルを交換する。

これは俺が、最初の方に手に入れたジュエルで、よく使ってきたジュエルでもある。




「「変身っ!!」」




《チェーンジッ!仮面ライダー!BLACK RX!!》





《チェーンジッ!アナザーRX!》






ドライバーに嵌め込んだジュエルから放たれる眩い光。

それは俺の姿を黒き太陽の子に、ジルを白銀の月の王子へと変える。






「俺は太陽の子ッ!仮面ライダーブラァァックッ!R!Xッッ!!」




「我は月の王子………シャドームーンRX……!」




バッタを擬人化したような姿。
そして一際大きな複眼。

そこまでは俺の姿も、ジルの姿も変わらない。


しかし、違うのはその体色だ。

俺が『太陽の光を吸収する黒』と緑を基調とするカラーリングに対して、ジルは『太陽の光を跳ね返す銀色』と黒を基調とした姿。


『BLACK RX』と『アナザーRX 』。


太陽と月………まさに鏡合わせの存在だ。





「「リボルケインッ!!」」


互いに構える光の杖。

それは目の前の敵を砕く最強の武装だ。


これで相手の体を貫いた方がこの戦いの勝者となる。




「「はぁぁぁぁっ!!」」

地面を強く蹴り、互いに駆け出す。


目の前の相手を打ち負かすために。




────己が信念を貫くために。
19/24ページ
スキ