Chapter.3:ゆりかちゃん

「アァァァァァァ!ああっ!あァァァァァァァァァァァ!!」


「か、カズトォォォォ!このやろっ!」


指をへし折られ、地面に勢いよく倒れ混み悶える男子校生。

どうやらコイツが“カズト”というらしい。




………名前なんてどうでもいいけど。








「…………“教育”だっけ?……“狩り”だっけ?


───殺される覚悟すらない癖に粋がるなよ」



俺はこれまでこの街の人たちを護ってきた…………つもりだった。


仲間を犠牲にして、大切な人を犠牲にして。



それでも………それでもって、自分に言い聞かせながら。



見返りなんて求めたつもりはない。

称賛の声も要らないし、感謝されなくてもいいって思ってた。



でも………まさか俺達が護ってきた奴らがこんな奴らだったなんて思いもしなかった。



平然と人を殺せる“怪物”………。



人の皮を被ってはいるけども、心は醜悪なケダモノ。



あんなに優しい人たちが無惨に殺されたのに。



なんで……………こんな奴らが生きてるんだよ。




「あぁぁぁぁぁぁっ!!」



俺は奴の落としたバールを拾い上げ、逃げられないように奴の足をへし折ると、おもむろにジュエルドライバーを取り出し、装着した。





《SET UP!》


《チェーンジッ!仮面ライダー斬月!真!》



《メロンエナジーアームズ……!》



メロンを模したアーマーが召還され、俺の頭上に降り立つ。

さながら“弓道着”といったところか。

そして鎧の定着と共に白いインナーに包まれれば、それは展開し鎧となり変身が完了する。


白いインナーに、夕張メロンと弓道着、鎧武者を混ぜたような緑の鎧。

そして複眼や鎧の各所は優里香ちゃんたちと一緒に見た、夕茜のような橙に染まっている。



“斬月・真”。

コイツに変身した者の中には、全てを諦め絶望し、闇に染まった者もいたと聞く。




咄嗟に掴んだジュエルがコイツだったなんて………どんな皮肉だよ。





「や、やべっ………ホンモノかよっ…………!

うっ、うわぁぁぁぁぁ!!」



「まっ、待てよお前らァァ!あぁぁぁっ!」

「「「あぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!!」」」



仲間を置いて逃げ出した男子校生たち。

俺は容赦なく逃げた奴らの足目掛けて矢を放つ。

矢が奴らの足に当たると、奴らの足は文字通り引きちぎられ奴らは地面へと崩れ落ちる。
仮面ライダーの武装で生身の人間を攻撃したのははじめてだが、まさか一撃で足が吹き飛ぶとは。


──こんな奴らはどうでもいい。
容赦なんてしてやる義理もない。




こいつらの言葉を借りれば……………





─────“教育してやらなきゃ”、なんだろ?
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