Chapter.3:ゆりかちゃん

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「ふぅ………」


誰もいない部屋。

ふたりで住んでいたのに、ユカ姉ないなくなって俺だけが残された。

本当ならユカ姉を思い出して泣きたくないので、すぐにでも出ていきたいくらいなのだが、最近ではアパートを借りる保証人が必要なくてもアパートを借りれるのだが、結局のところ引っ越しのためのお金も住めるアパートもないのでここで暮らすしかないのだ。


しかし4年も経てば何も感じなくなるもので、ダラダラとあの時と何も変わらない生活を送り続けている。



「ただいまー………」

………俺は帰るなり、自分の部屋に入りベッドに倒れこむ。



「久しぶりに楽しかったな………

あかりんも来れたら良かったのに………」


女装させられたりもしたが、今日は本当に楽しかった。

あかりんとふたりきりというのもいいが、こうして大人数で遊ぶのもいいな。


今日はぐっすり眠れそうだ………。


なんだか着替えるのも億劫になってきたので、俺はそのまま布団にくるまると着替えもせずに目を閉じた。



「………」


眠気が襲ってくる。

頭がボーッとしてきて、瞼が重くなる。


昔ある人が言っていたのを思い出した。

『夜更かしをするのは、充実した1日を送れていないから。少しでも1日を充実させるために夜更かしをする』のだと。



………ここのところ数日夜更かしをしていたように思える。

ぼんやりとスマホを弄ったり、ゲームしたり………

本当に何のために生きているのか分からないくらい、同じような生活を繰り返していたような気がする。


だが、俺は今日は久しぶりに充実した1日を過ごせたと自信を持って言える。


楽しかった。本当に楽しかったんだ。


だから、今日はもうこのまま寝てしまおうか………。




────そう思った矢先だった。




『~♪~~♪♪』


「んんっ………」


放り投げたスマホが鳴り響く。


もう眠りに落ちそうだったのに、まるで俺の眠りを邪魔するかのように、スマホが鳴り響いたのだ。


通話するのも億劫だ………でもなぁ………。


そう思いつつも、スマホを手に取る。



画面を見ると、優里香ちゃんの名前。




「どうしたんだろ…………?」


会うのが久しぶりだったから、話し足りなかったのかな?

あの子すごく甘えん坊だからなぁ………




そのくらい軽い気持ちで電話を取り、通話を開始した。











「もしもし、優里香ちゃん?」








「──助けて!!助けて道紀さん!!」



「優里香ちゃん!?どうしたの!?」


泣き叫ぶ彼女の声。

その声により眠気は一瞬にして吹き飛んだ。



そう………その一通の電話は、俺を悪夢に叩き落としたのだ。
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