Chapter.3:ゆりかちゃん

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「ふぅ…………着いたぁ!」


俺は真由先輩の車に乗り、優里香ちゃんの家へとやって来た。

家の前の駐車場に車を止めては彼女の家の前に立つ。



優里香ちゃんの家に来るの結構久しぶりだなぁ…………。

姫矢市では共同住宅に住む人たちが増えてくなか、優里香ちゃんの家はなかなか大きい一戸建てだ。



住んでいたところが願葉区から離れていたこともあってか沖田家は災害を免れており、優里香ちゃんの家族も全員無事だった。

優里香ちゃんのお父さんは交番に勤務する駐在さんで、お母さんは専業主婦。そして同じ小学校に通う2つ下の弟の汐(うしお)くんの4人家族。


学生の頃、ユカ姉しか家族がいなかった俺にとっては家族の暖かさを教えてくれた人たちだった。



………特に沖田巡査は秋くんが特にお世話になってたっけ。




それに沖田一家とはヤンチャしてた秋くんの紹介で知り合ったんだよね。



「みんな元気かなぁ…………?」


「あっ!道紀さん!真由さん!おはようございます!」


物思いにふけっていると玄関のドアが開く。

ドアの向こうから覗くのは笑顔の優里香ちゃん。


お父さんからのクリスマスプレゼントだろうか、頭に大きな白いリボンをつけている。



「おはよー!」

「おはよう、優里香ちゃん。リボンかわいいね。似合ってる」

「えへへ……ありがとうございます!

ささっ、どうぞどうぞ!」

「「お邪魔しまーす!」」


新しいリボンを着けた優里香を褒めると照れくさそうに笑いながら彼女は俺たちを家の中へと案内する。


あかりんとも仲良かったからあかりんも優里香ちゃんに会いたかったと思う。


だから連絡つかなかったのは残念だが、今回は仕方ないか………。



俺と真由先輩は優里香ちゃんの家の中へと入っていった。
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