Chapter.3:ゆりかちゃん

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「………ありゃ?」



次の日。


疲れていた割には早くに目が覚めてしまい、それから某動画配信サイトで動画を見て、時間を潰していたのだが、気づけば10時5分過ぎ。


そろそろあかりんに連絡しなければと思い、電話をかけるのだが…………携帯をオフにしているのか繋がらない。



まさか………帰りが遅かったことを怒っているのだろうか?




「……まさか、ね………………」


もしかして俺が留守にしていた間に何かあったのだろうか?


あかりんには俺の部屋の合鍵持たせてあるから、いつでも帰れるけどもそれにしても不安だ。


怪我をしていたとはいえ、それなりの日数留守にしてしまった上に結局帰ったのが夜だったからな………。



────怒ってるくらいならまだいいんだ。


それなら誠心誠意謝るし、彼女が機嫌直すためならなんだってする。




でも………本当に心配だ。




「俺はユカ姉かよ……………」


俺の家族……ユカ姉を思い出しては苦笑する。


学生の頃、ユカ姉は俺の帰りが遅いととんでもない量のメッセージ送りつけてきたっけ。


あのときは正直めんどくさかったけどさ、今となっては大量のメッセージを送ってくれる人もいないと考えると………涙が出てくる。



それに、口ではそういうが今ならユカ姉の気持ちがよく分かる。



本当に大切なものが出来ると、やっぱり弱くなってしまう。


あの子なら大丈夫だって信じてるけど、それでもやっぱり心配になってしまう。



だって大切だもの。

だって………大好きだもの。



身勝手なのは分かってるけど……

もう無くしたくない。





………無くせるものなんて俺には残ってはいないんだ。
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