Chapter.2:あかりん

「あれ?ジルは?」


「うーんとね………明梨ちゃんもいなかったし、もう遅いしうちに送ってきた」


「あかりんいなかったの?」


「うん………多分帰っちゃったんだと思う」


「そっか…………」



戦闘に夢中で全く気づいてなかったが、外を見てみると空は夕焼けの赤に染められていた。

なんとも美しい光景だが、どこか寂しさを感じてしまう。



なんでか?って聞かれると答えられやしないんだけども。




そっか………うちに帰ってもナース姿のあかりんいないのか…………。





って!違う違う!そうじゃなくて!!



でもひとりきりの家に帰らなきゃいけないのは正直キツい。




あの部屋には思い出が多すぎて………。




「あ、あのっ!道紀さん!!」



ここで優里香ちゃんが口を開く。


なんか緊張している面持ちだったが、そこがなんだか可愛らしい。




そういえばもう6年生になったんだっけ。





「どうした?」



「あのっ!明日私のおうちに来てください!明梨さんと真由さんと一緒に!

ちょっと遅れたけどクリスマスパーティーと、それから………年越しパーティーもしましょうよ!」



街がこんなになっているからこそだろうか。



“辛いからこそ、笑顔で乗り切る”。




それって意外と大事な事かもしれない。






だから………




「わかった………真由先輩も行くよね?」


「もち!」


「じゃあ、あかりんには俺から話しとくよ。

あと明日紹介するけど、もうひとり友達がいるんだ!」


「へぇ~!そうなんですね!じゃあその人も呼んでくださいっ!人数多い方が楽しいし!」


「うん、わかった」



もうひとりとはもちろんジルだ。

今日は仕方ないとはいえちょっと悪いことしちゃったし………明日はその埋め合わせしなきゃね。





「じゃあもう暗くなるし帰ろっか」


「「うん!」」



そして俺たちは帰路につく。


夕焼けの赤が徐々に紺碧に染まっていき、今日という1日の終わりを告げる。

そんな寂しげな雰囲気とは裏腹に俺の心は高鳴っていた。



こんな御時世なのに………明日が楽しみで仕方ない。





───早く、明日が来ないかな。





(続く)
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