Chapter.2:あかりん

「ぐっ…………!」



俺の斬撃を喰らい仰け反る女。



プライムより身軽に動けて、ビームで焼き切るのではなく、鋭く研鑽された刃を全身に持つアマゾンアルファ。



膂力もこちらの方が上だ。




………やっぱりプライムとは勝手が違うけど、少なくとも今はこっちの方が有利に戦えそうだ。





「ラァァァァッ!!」



奴が反応できないほどの猛スピードで斬撃をかます。


奴はそのスピードに防戦一方。




プライムのそれとは違う体の軽さ。



あちらはパワードスーツでベルトオーナーの身体能力をサポートしているのに対し、こちらはベルトオーナーの体そのものを根本的に全く別の存在にして強化している、といったイメージか。





────だからより直感的に動ける。





「ぐぅぅぅ………!」


「どうしたよ………?こんなもんかァ……?」



防戦一方となる目の前の女に挑発をかます。

しかし、冷静とはいえないが奴は挑発に乗るほどバカではない。



ただ、“強い男”との戦いに快感を感じたいのだろう。





「だったらこれでどうかしらっ!アマゾ《Violent Slarh》

「……っ!?」



───カウンター攻撃などやらせはしない。


俺は必殺技を発動させると、奴の懐に潜り込み、そのカウンターの要となる剣をへし折り、奴は体勢を崩す。





「ふふっ………やるじゃないっ!」



しかし、奴はその無理な体勢からへし折れ宙を舞う剣を掴むと、俺の肩目掛けて振り下ろした。




「ぐっ………!」


慌てて回避する俺だが、その刃は俺の胸を切り裂いた。




「なるほど…………やるじゃねぇか………!」


胸から滴る血を指でなぞるとジュエルドライバーからアマゾンアルファジュエルを外し……




《SET UP!》


「変身………!」


《チェーンジッ!仮面ライダー!グリス!》


《潰れるゥ!流れるゥ!流れ出るゥ!

ロボット・イン・グリスゥゥ!

ブルァァァァァァァァァ!!》



別のジュエルを装着すると俺の体を閉じ込めるようにビーカーのようなものが現れ、その中を黒い液体が満たしていく。

そしてその液体が体にまとわりつくと、アマゾンアルファの姿となった俺の体は黄金の鎧とスーツに包まれる。


最後に頭から黒い液体が噴水の如く吹き出せば胸と頭に半透明の装甲が構成され変身完了する。




「心火を燃やしてぶっ潰す………!」


クリアブラックの半透明な装甲。

黄金のボディに両肩にはゼリーパウチを模したスラスター。

頭部に雄々しく伸びる一本角。


怪物のような姿をしていたアマゾンアルファとは対照的に、機械人形(ロボット)を思わせる姿。



その名は“仮面ライダーグリス”。


心の炎を燃やす“黄金のソルジャー”だ。






《チャージボトル!》


《潰れなァァァい……チャージクラッシュ!!》



「……行くぞコラァァァァ!!」



両腕に生成される巨大な熊の鉤爪。


その姿が変わろうが、その戦い方は変わらない。




俺は肩のスラスターと背中から黒い液体を噴出し奴に肉薄するとその鉤爪を振りかざした。
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