Chapter.2:あかりん

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───────夢を見た。




眼前に広がる光景は………地獄。



炎に包まれた街。

地面に横たわる死体の山。

そしてそれを貪る………怪物の大群。




四方八方から聞こえるうめき声や悲鳴が聴覚を埋める。


これから訪れる絶対的な死を拒絶する絶望の声。気力を根こそぎ奪われるような錯覚を覚える。




戦争映画でもなかなかお目にかかれないような光景。





確かに自分も立ち上がれない程の傷を負った事はある。


死の淵に立ったことも一度や二度の事じゃない。




でも………この目の前に広がる光景は俺から言葉を奪い去ってゆく。




しかし、目眩を押さえながら俺は駆け出す。




ユカ姉を……たった1人の家族を探して、だ。





「ユカ姉………ユカ姉!」



ユカ姉………松本 由花(まつもと ゆか)は俺の後見人だった女性だ。


彼女とは血の繋がりはない。




でも…………いや、だからこそ本当の家族以上に繋がれたのかもしれない。




過保護で心配性で、メッセージを大量に送りつけてくるのを面倒くさいと感じる事もあった。




でもそれでも最愛の家族だった。大好きだった。




だから早く会いたい。



会って無事を確かめないと壊れてしまいそうで………。
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