Chapter.1:みっちゃん

「生存者は………」



生存者を探し炎に包まれた街を歩く。


倒壊した建物や倒れ伏す人々……生存者の確認は出来ない。


もっとはやく来ていればひとりくらいは救えただろうか。




そう思うたび、胸が苦しくなる。




「………誰………か………!」



諦めかけたその時であった。


瓦礫の中から微かに女性の声が聞こえてきたのだ。




「ッ!今助けます!」


《OH,YEAH!PRIME!SHOW TIME!!》



再びプライムレイザーを起動させ、プライムに変身すると瓦礫を持ち上げる。


そして瓦礫を捨てると、倒れていた女性を抱きかかえる。





「大丈夫ですか?」


「………は、はい。ありがとう………ございます」



安心したのか気を失った女性。


女性を安全な場所に運ぶと、変身を解除して119番に電話し救急車を呼ぶ。





「………ふぅ」


やがて救急車が来て、女性を病院まで運んでいくのを見送ると、カマラーダと真由先輩がいる場所へと向かい歩き出す。








まさにその時だった。











──────リン。











鈴の音が響く。



直後、静止する世界。







取り残されたのは、俺だけ?いや………









「やぁ………君はいつもボロボロだね、松本 道紀」





もうひとり。



銀髪に黒い和服を着た少年が突然目の前に現れたのだ。






「………君、は………?」



これは幻なのだろうか?


止まった時間の中で、浮世離れした端正な顔立ちの少年が目の前にいる。



その姿は童話に出てくる天使そのものだ。


そんな彼の美しさに見惚れてしまうも、なんとか言葉を紡ぐ。







すると少年は答えた。





はっきりと、凛とした声で。





「僕はジル。………ジル・ロックディールだ」







(続く)
29/29ページ
スキ