Chapter.1:みっちゃん

《BEAM CLAW ACTIVE!》


「はぁぁぁぁぁぁっ!!」



電子音声と共に両腕の装甲が展開し、リヒトシュトロームが放出される。
そして空気に触れたリヒトシュトロームが鉤爪の形に固まればプライムのメイン武装である『ビームクロー』となる。


俺はビームクローを構えると敵アンゲロス目掛けて駆け出し、その猛禽の如き鉤爪を振るいアンゲロスたちを切り裂く。





「グギャッ!!」



短い悲鳴を上げるアンゲロス。


切り裂いた箇所から化膿が始まり、ポコポコと気泡のようなものが現われる。



やがて気泡がアンゲロスの体全体を包み込み………




「ギャァァァァァァァァァ!!」



断末魔と共にアンゲロスの体は文字通り破裂。


辺りに鮮血の雨が降り注いだ。


リヒトシュトロームには血液中のヘモグロビンと結びつくことで急激に膨張する性質があり、これよって人と体内構造が似ているアンゲロスを確実に殲滅することができるのだ。



だが…………




「………ごめん」



やはり、気がひけてしまう。


そもそもアンゲロスとは人間がヴァイトップという宝石の力によって怪物化した姿……というには少し語弊がある。

ヴァイトップが人間の人格をコピーした上で、その人間の体を乗っ取り改造することで生まれる怪物。

すなわち人間としてはヴァイトップに殺害されることで人生を終えているのだ。

当然死んだ人間を蘇らせることなど出来はしない以上、一度アンゲロスになった人間はもう人間に戻ることは出来ない。

アンゲロスからヴァイトップを切り離す“力”があれば別だが、生憎そんなものはない


だからこそ、倒さなければならない相手なのにその罪悪感は拭えない。


アンゲロスは自分のことを人間だと思っているからだ。



どうしても人間を護る為とはいえ人殺しをやってるような気がしてしまう。


おそらくこれからもこの感覚には慣れないだろう。
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