Chapter.1:みっちゃん

やがて朝日が昇った頃、沈黙を破るかのようにスマホの着信音が鳴り響く。



「………う、うぅーん………」


俺は体を起こし、スマホを手に取り電話に出る。



「はい、もしもし………」


「あ、もしもしみっちゃん!?真由だけど………」


聞き覚えのある幼げな声。




相手が名乗ったことで電話の相手が先輩の神崎 真由(かんざき まゆ)だった事が分かる。


真由先輩は俺たちの部活の先輩で、血の生誕祭をはじめとする様々な戦いを共にした仲間だ。





「真由先輩?どうしたんです?」


「それがね、大変なの!願葉区の方でアンゲロスが暴れてて………」



またアンゲロスか………。


今月に入って何度目だろう、血の生誕祭の生き残りのアンゲロスと戦ったのは…………。





流石にこちらも疲弊してきたがそうは言ってられない。


アンゲロス狩りを生業とする“チームバルチャー”なんて奴らが最近ネットで話題だけど、そんな奴らには任せれれない。


この街を護るヒーロー……仮面ライダーはもう俺しかいないんだ。


むやみやたらに被害を拡大させるだけの奴らがこれ以上増えないうちに戦いを終わらせなきゃならないんだ。




「わかりました、すぐ行きます………」



そういって電話を切り、あかりんを見る。


彼女は自分の体を毛布に包みながら体を起こすと、寂しそうな目をして俺を見つめ返してくる。




「行っちゃうの………?」


「うん………行かなきゃ」


………正直、俺だって彼女を残して行きたくはない。


片時もその側を離れたくない。



正直ライダーとしての勤めすらかなぐり捨てて、一日中彼女と抱き合っていたいくらいだ。



でも………行かなきゃ。助けを待ってる人がいる。



そして、それがあかりんを守ることにも繋がってくる。




「待ってて。すぐ戻るから」


「うん………」



そうして彼女にキスをすると慌てて服を着て外へと走り出す。





………これから何が起こるかなんてて想像出来なかったし、戦いが終わればまた彼女に会えると思っていた。




遠ざかっていく彼女との距離は本当に一時的なものでまたすぐに戻ると思ってたんだ。






でも………。
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