Chapter.1:みっちゃん

─────

かさり、と布の擦れる音。


わずかにシーツが動いて浅い眠りから目が覚めた。


ぼやけた視界を目をこする事で正し、窓の外を見る。





外はまだ真っ暗だった。





全身に残る気だるさが夢ではなかったと知る材料だった。


今更ながら、それを実感すると顔が熱くなる感じがした。




そして体を起こそうとすると横から声がした。




「………あ、ごめん、起こしちゃった?」


「ううん、今起きたとこ」


聞き慣れた優しい声。どうやら彼女は起きていたらしい。



俺は鼻にかかる声で否定を示し、体を起こすのをやめて彼女の方へ寝返りをうつ。




「そっか。なら良かったぁ」


そういって安堵したかのように微笑むあかりん。

俺にはその表情の1つ1つが夜の闇に沈んでもなお輝いて見えた。




「………あのね、みっちゃん。あたし、夢見たの」


「夢?どんな夢を見たの?」


唐突な彼女の言葉に聞き返すと、彼女は俺に甘えるように擦り寄ってくる。


すぐ傍から見つめてくる視線。なんだか気恥ずかしい。





「うんとねぇ………あたし達に子供がいる夢、かな」


あかりんもなんだか恥ずかしそうにいう。




「やっぱり子供欲しい?」


「うん………ダメ、かな………?」



顔を赤らめ、もじもじしながら俺を見つめる。





反則だ………そんな顔されたらノーなんて言えないよ。
12/29ページ
スキ