Chapter.1:みっちゃん

───2022年 姫矢市───


「くっ………来るなァァァァァ!」



逃げ惑う人影………否、怪物。


路地裏に追い詰められた怪物はひどく怯えており、その巨体を小さく縮めながら震えている。





………そんなに“俺”が恐ろしいのかよ。




「い、嫌だぁっ!死にたくない………死にたくない!!」



怪物は最後の悪足掻きとして手近にあったものを投げつける。


俺はそれを払いのけるとゆっくりと近づいてゆく。






「安心しなよ………すぐには殺しはしない」


腕の装甲が展開し、ブオンという音と共にビームの鉤爪が形成される。






そして………




─────ザシュッ






「ぎゃぁぁぁぁぁぁぁぁっ!!!」





………こんな事を繰り返しているうちにいつの間にか『死神』と呼ばれるようになった。



だがもう、俺には時間がない。



なりふり構っていられないのだ。



返り血を拭い1枚の写真を取り出すと、激痛に襲われている怪物にその写真を見せる。



写真には1人の女の子の姿が写っていた………。




「言え!こいつは………“ノエル・ロックディール”はどこにいる!?」
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