必死に逃げる。逃げ続ける。しかし出口などどこにもありはしない。


「くっそぉぉぉぉぉ！どうやったら元の世界に帰れるんだよぉぉぉぉぉぉ！」


後ろには邪武と2体のイナゴ怪人。

次第に距離が縮まってゆく。


嗚呼、なんか泣けてきた。


人間死ぬときは一瞬だ、だから今を精一杯生きろってよく知世子さん言ってたっけ。









……本当に一瞬なんだな、死ぬのって。











まさに諦めかけた瞬間……ヤツの手が俺の肩に触れる瞬間だった。












《ライジングスキャン！ドライブ！》


そんなハイテンション気味の音声がどこからともなく流れてきたと思えば、邪武と俺との間にナニカが割り込んできた。それも高速で。


そしてそのナニカは俺の体を抱えると、俺を安全な場所に下ろしてくれた。




「さぁて怪物ども……ひとっ走り付き合えよ！」

決め台詞でも叫んでいるのだろう、ソイツは赤い鎧にタイヤをたすき掛けしている車をモチーフにした戦士……仮面ライダードライブ。


……なるほど、テレビの通りだ。