一章 THE BIGINNING

「うっ……うわぁぁぁぁぁぁぁ!!」

反射的に逃げ出す俺。

少年マンガとかなろうとかにありそうな小説だったらここでサクッと返り討ち!なんて展開なんだろうけど、極々普通な人生しか与えられていない一般人の俺なんかにゃそんな“カッチョイイ事”はムリな訳で。





「……やべ…やべぇって!絶対やべぇってアレェ!!」

頭の中は真っ白。

情けない事に何をどうしていいのか全く解らない。


これは悪い夢なんじゃないかって、目を覚ませばいつもの生活がいつものように始まるんじゃないかって思うくらい。

でもこの息苦しさや汗でシャツが体に張り付く不快感がそれが現実だと雄弁に語っている。


だからこそ確信できる。



立ち止まれば……


追いつかれれば……




……確実に殺される、と。
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