一章 THE BIGINNING

「そうっすか……ははははは……」


「……ふふっ、本当に園長先生と神崎くんって仲がいいんですねぇ~。恋人みたいですぅ」


「よっ、色男っ!」


苦笑しながら弁当を頬張る知世子さんを眺めていると後ろから声をかけられた。


「べっ、別にそんなんじゃないっすよ!山吹先輩!辻畑先輩!」


後ろから声をかけて来た2人の女性は順に『山吹 小梅(やまぶき こうめ)』と『辻畑 柊(つじはた ひいらぎ)』。


山吹先輩はその整った容姿と腰までの長さの綺麗な黒髪が特徴の美女で、性格は非常に穏やかで超がつく程の天然。


辻畑先輩は山吹先輩とは対照的に肩までの長さのショートカットが特徴の女性。正直そこまで美人という訳でもないが、その飾らない性格や仕事に対するひたむきさから子供たちからも人気が高い。

……まぁ、時々暑苦しいと思う時もあるけど。


ちなみに2人とも俺より前にこの保育園で働いている為、先輩と呼ばせて貰っている。


「……で、神崎くん。
誰がそこまで美人じゃないって?
誰が暑苦しい筋肉バカだって?」


「誰もそこまで言ってねーよ!」


……つーかちょっと待て。


なんでここには2人も3人も読心術が使える奴がいるんだ?
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