一章 THE BIGINNING

保育士の仕事で重要な仕事のひとつがこの“子供のトイレトレーニング”だ。


子供にトイレを慣れさせ、やがては1人で行けるようにトレーニングしてやるのだけど、産まれてからずっとオムツをつけている子供は排泄の意味すらわかっていない。


実際にヒナもそうだった。


この保育園でも、気がついたら廊下や教室でおしっこしてたなんて事が何度もあった。


だからずっとオムツがとれなかったのだけど、最近になってようやくトイレに慣れてきたようだ。


……やっぱりトイレをヒナが大好きなポケモンの人形やポスターで飾ったのが上手くいったのかな?




「せんせ~、ひとりで出来たよ~!!」


……待つこと数分、ニコニコしながらヒナが個室から出てきた。


「偉いぞ~!ヒナ~!よくやった!!」


俺はスマホをしまうとすかさずヒナを抱きしめ頭を撫でてやる。


はたから見れば大げさだろうし自分の子供でもないけど、俺は、ヒナや他の子供たちの事を心の底から愛しているし、そんな子供たちが成長していくのに立ち会える事が凄く嬉しいんだ。


だからこそ、この保育士という仕事は止められないし、この仕事に誇りだって持てる。


「もうちょっとしたら1 人で行けるようになるかも~」

「そっか!……よし、おてて洗おっか」

「うん!」


ヒナと一緒に手洗い場へと行き手を洗わせる。


そして手を洗うヒナを横目に俺は呟いた。


























「……やっぱり園児は最高だぜ」





…………他の保育士たちや園長先生が俺を白い目で見ていたが気付かなかった事にしよう。
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