Phase.5 再会─眠れ、愛しの姫君よ─

『イヤァァァァァ!』


6本あるうち1本の腕を切り裂かれると悲鳴を上げるクイーンスパイダーアンゲロス。


胸が引き裂かれるような光景だ。


あれが、姫華さんだと思うと…………。




『……オノレェ……!』


彼女は距離をとると十数匹の子蜘蛛を飛ばす。


すると子蜘蛛はみるみるうちに成長していき蜘蛛怪人………俺が初めて戦ったあの蜘蛛男…………スパイダーアンゲロスへと姿を変えた。

どうやら彼女は同族のアンゲロスを生み出す能力を持っているらしい。




「「「シャァァァァ………!」」」


──ざっと数えて、その数は13体。


生み出された蜘蛛男たちは一斉に俺に襲いかかる。



「………!」


しかし奴らは最早、サムライフェイズとなったプライムの敵ではない。

地面を蹴るのではなく、体重移動を利用し一気に距離を積める。


いわゆる古武術でいうところの『縮地』という奴だ。

ベルトによるラーニングと、それに伴う人工筋肉の性質の最適化、そして俺の動きをAIやオペレーティングシステムで制御することで無駄のない動きを実現しているのだ。



「──────っ!!」


ビームサムライソード片手に敵陣に突入すると、次々と敵の急所……腰に巻かれたベルトを切り裂いていった。

蜘蛛男たちは混乱している。

それも無理はない。

さしたる攻防もなくいきなりウィークポイントをつかれただけではない。
先ほどと動きのキレが圧倒的に変わっているのだから。


それは親であるクイーンスパイダーアンゲロスですら後ずさってしまう




───これが、プライム・サムライフェイズの真の力。


複眼…『コンパウンドアイズ』とオペレーティングシステムを連動させることで相手の動きや弱点を瞬時に見抜くことができるのだ。
19/24ページ
スキ