Phase.5 再会─眠れ、愛しの姫君よ─

「俺だって恋愛したいんだよ!」


「どゆこと!?」


秋くんは胸のうちを包み隠さずさらけ出してるつもりなのだろうか。

しかしまったくといっていいほど答えになっていないし、なんで恋愛なのに俺がターゲットにされるのだろうか。



「なんでそれで俺に白羽の矢が立つのさ!?」


「それはお前の事が好きだからだよミィ。

なんならチョコじゃなくて、お前自身っていうのもありだぜ?」


…………うん、こいつは何を言っているのだろう。



「それだけは絶対にヤダ!」







「……………





………………





────安心しろ、ゴムはつけるからよ☆」



「安心できるかァァァァ!

何するつもりだァァァァァァァァ!!」


ダメだこいつ、早くなんとかしないと───。



「何って……もちろんセッ」


「アホかァァ!!」


ここで強烈な一撃が秋くんの頭を直撃する。

その一撃を放ったのはあかりん。


ナイス一撃!!



「~~~ッッ!いってぇな!何すんだ!」


「みっちゃんが困ってるでしょ!この変質者!」


「……まったく……」


結局、ギクシャクした空気もなんのその。

すっかりいつもの調子になってしまい、呆れながら俺は二人を見る。




「……でもこれでいいのかもな」


痴話喧嘩を続けるあかりんと秋くんを見て思わず笑顔になる。


辛い現実を忘れさせてくれる一時(いっとき)。




この幸せな時間がずっと続きますように。


そして今の辛い現実が嘘でありますように……。




今更叶わない願いだとは知っている。


でも、そう願わずにはいられなかったんだ。
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