Phase.5 再会─眠れ、愛しの姫君よ─

「……残念だけどアンゲロスになった以上、真中姫華は人間として既に死を迎えている。
真中姫華の人格もヴァイトップがコピーしたものに過ぎない。

そうなったらもう最期。

“絶対に助からない”。

死んだ人間を生き返らせることなんて不可能。

──あとは駆除するだけさ」


「ふざけるな!」


“あとは駆除するだけ”。


あまりにも残酷な事実を突きつけられ、俺は思いっきりカマラーダのカウルを殴った。

カマラーダのカウルには傷1つつかず、俺の拳が血で滲むだけであった。



「それで気がすんだ?

気持ちは分からなくはないけど、これだけは言っとく。

………あのアンゲロスを止められるのは君だけだからね?」


淡々と紡がれる言葉。

カマラーダは淡々とながらも、念をおすかのように言葉を投げかける。


理解は出来るよ。
でも納得なんて出来るものか。



「……何で……何でだよ……!」


色々と事情に精通しているカマラーダが言う以上、助かる道がないというのも、恐らく事実だろう。


でも、俺に姫華さんを諦めろと?


こんな大層な力を手にしても、結局は救いたい人を救えない。



………自分の無力を呪い、ただ拳を握りしめた。
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