Phase.5 再会─眠れ、愛しの姫君よ─
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俺が彼女と出会ったのは小学6年の時の夏だった。
夏真っ盛りの炎天下の中、些細な事からユカ姉と喧嘩し美術館の前で泣いていた所に話しかけられたんだ。
『もぉ……男の子なんだからそんなに泣かないの』
そう言って差し出されたハンカチの香りと、頭に置かれた手の温もりを今でも覚えている。
それからかな。
俺は暇があったら美術館へと通うようになった。
ただ、あの人に会いたくて。
もう一度あの人の温もりに触れたくて。
最初は興味すらなかった美術品も、今では彼女以上に詳しくなった。
それも全て彼女の……姫華さんの笑顔が見たい……その一心で独学で勉強したからだ。
初めて誰かを笑顔にしたいと思えた。
初めて誰かの為に生きたいと思えた。
………少し大袈裟かもしれない。
それでも………それが、俺の初恋だった。
俺が彼女と出会ったのは小学6年の時の夏だった。
夏真っ盛りの炎天下の中、些細な事からユカ姉と喧嘩し美術館の前で泣いていた所に話しかけられたんだ。
『もぉ……男の子なんだからそんなに泣かないの』
そう言って差し出されたハンカチの香りと、頭に置かれた手の温もりを今でも覚えている。
それからかな。
俺は暇があったら美術館へと通うようになった。
ただ、あの人に会いたくて。
もう一度あの人の温もりに触れたくて。
最初は興味すらなかった美術品も、今では彼女以上に詳しくなった。
それも全て彼女の……姫華さんの笑顔が見たい……その一心で独学で勉強したからだ。
初めて誰かを笑顔にしたいと思えた。
初めて誰かの為に生きたいと思えた。
………少し大袈裟かもしれない。
それでも………それが、俺の初恋だった。