Phase.1 邂逅─日常の崩壊─

街のいたるところにオートウォークが設置されているだけではない。


SF映画にでも出できそうな球体状のホテルや楕円形のビルなど、
他の都市では見られないような物珍しいものも沢山ある。



そのなかでも一際存在感を放つのは三日月型の建物。

これがこの街の支配者、姫矢グループの本社ビルだ。




「そうよねぇ…なんか現実味ないよね」


俺とあかりんもオートウォークに乗ると同じように辺りを見回してみる。



建設中のビルにはオートマチックで動く作業用ロボ、
そして至るところにニュース速報や企業の新製品の広告を打ち出す飛行船が飛び交っている。




───ニュースでやってたけど、そのうち姫矢グループが『空飛ぶ車』も開発するんだってさ。




「そういえばアキくんって引っ越してきたばっかりだったよね」


珍しそうに街の光景を見る秋くんを見て思い出す。

秋くん最近こっち来たばっかりなんだった。



「おう。だから観るたびに驚かされるっていうか………。

なんかここだけ別の国みたいでさ。なんか許可証……だっけ?そんなのも取らされたし」




────『許可証』。


それは姫矢市に入るために必要な令状だ。


姫矢市の市民は全員許可証を携帯しており、
この許可証がなければ姫矢市に入ることも出ることも出来ない。



………ちなみに俺はこの許可証の制度がだいっきらいだ。



だってめんどくさいじゃん?
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