Phase.3 疾走─駆け抜ける騎兵─

「えぇぇぇぇっ!?」


俺は自動で走ってくるバイクをみて驚く。


そりゃそうでしょうよ、バイクが自動で走ってきたんだよ?



驚かない方がどうかしてる。




バイクはユニコーンの頭部を模したフロントカウルを筆頭に
馬の脚や尾といった物を模した装飾が見られ、
さながら一角獣(ユニコーン)をそのままバイクに落とし込んだといった感じだ。



バイクは俺の目の前に止まると、乗れと言わんがばかりにアクセルをふかす。




「乗れっていうのか……?」


バイクにまたがるとふとハンドル中央部に搭載されているコンソールパネルに触れる。




するとブーンという音と共にパネルが点灯し…





「はぁい!あたちカマラーダ!」







え………………?







「キェェアァァァァァ!シャベッタァァァァァ!?」




なんと自動で動くだけではなく喋りだしたではないか。


これには素っ頓狂な声を上げざるを得ない。




「もう~、驚きすぎ。マックのCMじゃないんだから」



「マタシャベッタァァァァァァァ!!!」



「うるさいよ?」


「ゴメン」



「でもここまでよく頑張ったねぇ。あたちが来たからにはもう大丈夫。

さぁいくよ!バイクは運転できるよね?」



「もちろん。バイクだけは得意なんだよ!」



バイクの運転が出来るかどうかと、喋るバイク『カマラーダ』の問いに対して俺は自信満々に答える。


…………こうみえても俺、バイクの運転こそが唯一の特技なんだよ。




アクセルをふかすとカマラーダは雷鳴のようなエンジン音を轟かせる。



いいエンジン音だ。腹の奥底に響くような…………




「行くよ!!」



そしてバイクは獲物目掛けて勢いよく走り出した。
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