Phase.3 疾走─駆け抜ける騎兵─

「秋くん………!」


秋の笑顔が脳裏に蘇る。


俺は秋くんの優しさに胸を打たれた。
それと同時に先ほどまで逃げ回っていた自分の臆病さを呪った。



あの時、自分が逃げてなければ秋くんを巻き込むこともなかった。

そう思えば思うほど悔しくてたまらなくなる。



────だけど、今は泣いている場合じゃない。



涙を拭うと、自身のTシャツを破き、患部である肩に巻きつけて秋くんを寝かせる。





「…お……俺がやらないで誰がやるんだ!」


恐怖を振り払うかのように、震える手を押さえながら自分を奮い立たせるかのように叫ぶ。




「今やらないでいつやるんだ!」


なけなしの勇気を虚勢で塗り固め、敵の前に身を晒す。

敵も気押されたかのように一歩下がる。




「今この瞬間だろ!今この瞬間からしか変えられないんだろ!!」


目の前の怪物を見据え、強く睨みつける。


そうだ、それが出来なかったから俺はずっと後悔してるんだ。


だけど今はあの時とは違う。





戦う覚悟はもうとっくに決まった………。




あとはその意思を込めて“あの言葉”を叫ぶだけだ。





《HEY YOU!ARE YOU READY!?》



「うおぉぉぉぉぉぉぉ!変・身ッ!!」



《OH YEAH!PRIME SHOW TIME!》




プライムレイザーからラインドライブが伸びると
それを基点にして体を青い装甲が包み込み、異形の戦士へとその姿を変える。



プライムと呼ばれるその姿は変身する前の華奢な体型とは打って変わって筋骨隆々のたくましい姿をしており、まさに今の決意を具現化した姿といえる。

……もう、逃げたりはしない!
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