Phase.3 疾走─駆け抜ける騎兵─

「いやぁぁぁぁぁぁぁ!」


「……っ!」


“ソレ”を見て悲鳴を上げるユカ姉に対し、俺は上空に視線を向け構える。


夜の闇に溶けてハッキリ見えないが、
上空には一際黒い大きな影が1つ。


蝙蝠のような翼を広げ空を飛び回っているのだろうか。




……最初の戦いから2週間、ついに2体目の怪物が現れたのだ。






「ユカ姉は安全な場所に逃げて!」


「みっちゃんはどうするの!?」


「俺は大丈夫、なんとかするから!」


……ユカ姉には事情は説明出来ない。


だが、あの正体不明の黒い影は放ってはおけない。

放っておけば犠牲者が増えるだけだ。



それだけ言うと俺はユカ姉に夕飯の材料を持たせ、
飛び去って行った黒い影を追い駆け出した。




「みっちゃん!待って!!」


道紀を呼び止めようとする声が聞こえる。


ゴメン、ユカ姉。きっと心細い想いをさせると思う。



でも、すぐに戻るから。だから………!
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