Phase.3 疾走─駆け抜ける騎兵─

────同日 午後7時34分 葉月区。

下校し、日が沈んでしばらく経った頃。


俺とその姉代わりである女性、松本由花……ユカ姉は人通りの少ない道を歩いていた。


近所のスーパーで買いだしした、その帰りだ。


「ユカ姉、今日の晩御飯なぁに?」


「今日はみっちゃんの好きなカツカレーよ」


「やった!」


俺はユカ姉の買い出しに付き合わされて、荷物持ち。
その両手に食材の入ったビニール袋が握っている。



「ところでみっちゃん、今日の社会科見学どうだった?」


「面白かったよ~、色々と勉強になった」


「色々ってどんな感じ?」


「う~んとねぇ…なんだろう?」


「なんだろうってあたしに聞かれても……」


わからないといった感じで首を傾げる。ユカ姉はそんな俺を見て苦笑する。


ユカ姉は歳の割には若く……っていうか幼く見える。


俺と同じくらいの身長で肩くらいにまで伸びた髪をポニーテールにしている。



ハッキリ言ってしまうが、今でも願葉高校の制服を着させても生徒の中に溶け込めてしまう。



ただ、胸は………その大きい。



時々そこに飛び込みたくなるくらいには。



そして俺はおっぱいがだいすk………ゲフンゲフン。何を言わせるんだ。






「…………?」



………そんな俺たちの背後に異形の影が忍び寄る。




最初に気配に気づいたのはユカ姉の方だった。


何者かが自分たちをつけているような気がしたのか、振り返ってみるが誰もいない。






「どうしたのユカ姉?」


「ううん、なんでもない。ホラ、はやく帰ろっ!」


そう言ってユカ姉が俺の手を握ろうとした瞬間だった。





ドンッという音と共に何か大きなものが落ちてきた。




「な、なに!?」



恐る恐る近づいてみると落ちてきたものの正体がわかった。





落ちてきたものの正体は人………


……………否、人“だったもの”と形容した方がいいだろう。

何故ならばそれは全身の体液を抜かれ干からびたかのように息絶えていたからだ。
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