Phase.1 邂逅─日常の崩壊─

─────姫矢市。


日本有数の大企業、『姫矢グループ』が拠点を置く企業都市だ。



元は『願葉』(がんば)という何の特徴もない小さな街で、
『願葉市』として市制を敷いていたが1990年代初頭に姫矢グループが進出。



大規模な都市開発を行い、様々な市町村が編入したことで現在の姫矢市となったんだ。



特に俺たちが通っている高校『願葉第一高校』がある中心街『願葉区』の発展はすさまじく、
昼夜問わず喧噪と活気に満ちたこの街は『ひかりのまち』という異名をとるまでとなった。





学校から出た俺達3人は結局一緒に帰ることになり、近くの駅に向って歩いていた。





「…………しっかし、いつ見てもこの街ってスゲェよなぁ」


ふと秋くんが野外設置されているオートウォーク……いわゆる動く歩道に乗ると辺りを見回して一言。




そりゃそうか………やっぱりこの街は珍しいんだ。
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