Phase.3 疾走─駆け抜ける騎兵─

やがてバスは発車し、願葉第一高校へと向かって走り出す。


「それならいいんだけど………」


「それにしてもおかしくねぇか?あれだけのことが起こったのに事故って………

その………死んだ人もいたってのに」



「確かに………」


秋くんのいうことも一理ある。
いくらなんでも目撃者もそれなりにいたにも関わらず事件が事故として処理されるのは
いくらなんでも無理がありすぎる。





「でもな、あれから事件に巻き込まれた人たちと会ったんだけどみんな事故だっていうんだよ……」


「えっ……?」


この二週間足らずで他の人に会いに行ったの!?
行動力ありすぎでしょ!!




「なんか本当に事故だったみたいでさ………俺たち夢でも見てたのかな?」


「そんなわけないでしょバカ!」


「いっ!?」


あかりんが秋くんの頭を思いっきり叩く。

「いたた……」と頭をさする秋くん。




それにしても…………やっぱり妙な話である。



事件に巻き込まれたはずの被害者たち……
少なくとも秋くん曰く、会った被害者たちは揃いも揃って
ただの交通事故だったと証言していたらしいんだ。





「とにかく、さ……俺たちで調べてみねぇか?事件の真相ってやつを」


「っ!それはダメだよ!」


自分たちで事件の真相を探ろうと提案すると道紀は思わず立ち上がり声を上げる。


視線が自分に集中すると照れ隠しにせきばらいをし、再び座席に座る。





「………とにかくダメだ」


秋と明梨を巻き込むわけにはいかない。


2人……特に秋くんに念を押すかのように彼の目を見る。




「え~~~………なんでだよ……」


「アンタ懲りてないんでしょ?あれだけ怖い目にあったのに」


「篠宮なんてオシッコ漏らしてたもんな」


「っ!///漏らしてないっ!!」


「いっ!?」


秋くんがそう言ってニヤリと笑うとあかりんは顔を真っ赤にしながら秋くんの頭を再び叩いた。


………秋くん、それはセクハラって言うんだよ。
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