Phase.3 疾走─駆け抜ける騎兵─

「どうしたのみっちゃん……顔色悪いよ?」


隣にいるあかりんが俺の顔を心配そうに覗き込む。




「あ、あぁ………大丈夫。ちょっと眠れないだけ………」


「………なら俺が添い寝してやろうか?」


「あんたが来たら余計眠れなくなるっての!」


横から割り込んできた秋くんはなぜかどや顔。
そしてあかりんに頭をしばかれる。



…………まぁ、こうなるよね。





「2人ともありがとう。ホントに大丈夫だから」


2人のやり取りを苦笑いしながら見つめる。

これは自分の問題であり、2人に心配をかけてはいけないし、巻き込んでもいけない。


俺は、眠れないその本当の理由を明かすことはしなかった。



─────いや、できなかったのだ。




「そう……でもちゃんと休まなきゃダメだよ?」


「何かあったらちゃんと話せよな!」


「うん。わかってる。だから今は……」



「そこ、おしゃべりしない!」




「「「はーい………」」」





言いかけたところでうちの担任の怒号が飛んでくる。



俺たち3人は生返事を返すと、黙って講義に集中する。






「……これがこのタワーのメイン動力源の『テスラーエンジン』になりま~す」



そして、案内役の赤いメガネをかけた女性がガラス越しに見える
巨大な赤い球体を指差して説明を開始した。
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