Phase.3 疾走─駆け抜ける騎兵─

「…こちら維城」


2体の怪物の死亡を確認し、変身を解除するとインカムで通信を送る。



汗ひとつかきはしないし、自分でもわかるくらいに無表情だ。



それもそうだろう、あまりに一方的な戦いだったのだから。




『お疲れ~』


インカム越しに気の抜けた男の声が聞こえてくる。


奴は私の同期だ。




「実験体2体の駆除に成功した」


『クラスCのスパイダーはともかく、クラスAのジャガーまで瞬殺とはねぇ~流石は維城殿。

でもこれじゃ“3号機”………トゥリトスのデータ収集にはならないなァ』


「ならもっと強い実験体をよこせ……ところで兵井、“1号機”……プライムの件は聞いているな?」


通信機越しの同期の男………兵井(ひょうい)にプライムの件………
つい先日確認されたゲームセンターにて一般人の少年がアンゲロスを撃退したという一件について尋ねる。




『あぁ、彰一が計画通りにあの少年にベルトを託したんだろう?


その彰一は今、ジニアと共に別件で動いているよ。

全く凄い男だよ彼は。まさに不死身だ。



………それにしても次のプライムは“松本 道紀”………か。

我々にとって実に好都合じゃないか。



君もそう思うだろう?』




「………それは、どうかな」




兵井にとって……いや、“彼ら”にとって
あの少年が変身することに何の意味があるのだろうか。





私はこの先起こるであろう激闘を予感しつつ、自身のトゥリトスレイザーを静かに見つめるのであった。
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