Phase.3 疾走─駆け抜ける騎兵─

───TRITOS SIDE───


1月31日 午前9時26分


星葉(ほしは)区。



葉月区よりさらに北東に位置する街で、昔からの街並みを『街並み保存区画』として残している。


大正時代からの街並みを残したこの星葉の街の更に奥。

そこに1992年に出土した遺跡、『星葉遺跡』がある。



ここでは古代の棺をはじめ様々な埋蔵品がされ、
20年以上経った今ではこうして文化遺産として期間限定で一般公開された。




その遺跡の最深部………一般の者の立ち入りが厳しく制限された神聖なる場所。




そして“すべての始まりの場所”に私はいた。






「ほう………ジャガー型のアンゲロスに蜘蛛型のアンゲロスか」


喪服のような色合いの仕事用のスーツを着込み、私………維城 想(ゆいしろ そう)は奴らを一瞥する。




奴らは『アンゲロス』。

あらゆる動植物の特性を持ち、共通で天使の輪と翼、
そしてコアとなる宝石を体のどこかに埋め込まれている。


その翼と輪に似た機関を持つことから
我々は『神の使い』の名を関する『アンゲロス』というコードネームを奴らに与えたのだ。



私の目の前いるアンゲロスはジャガーをそのまま二足歩行にし、
鉄仮面をつけさせたような『ジャガーアンゲロス』と、人体模型に蜘蛛の体を繋げたような『スパイダーアンゲロス』だ。




───テストプレイになるかはわからんが、いいだろう。


懐から取り出したのはベルト型の機械。



バックルの上部にはTRITOS LAYSER……“トゥリトスレイザー”と刻まれている。



これが私の切り札だ。
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