Phase.3 疾走─駆け抜ける騎兵─

───夢を見ていた。


それは、胸の中にしまってきた忌むべき記憶。


…………あの時、助けられなかった“あの子”との思い出。





夕暮れの学校、自分たち以外に誰もいない教室。




夕焼けの赤がやけに目にしみる。





そこに“あの子”もいた。



体格の大きい男子2人に虐められている1人の少年を俺はただ、見ているだけ。


助けなきゃ!


それでも………体が動かない。


怖いんだ。怖くて仕方ないんだ。



殴られるだけのあの子と、震えているだけの俺。


やがて男子達は飽きたのか笑いながら去っていき
そこにはボロボロになったあの子と、惨めな俺だけが残されて………






「………っ」


───目を覚ます。



時間は午前2時13分。

真っ暗な自室を見渡してようやくそれが夢だと悟る。



なんとも最悪な目覚めだ。
1/25ページ
スキ