Phase.1 邂逅─日常の崩壊─

「大丈夫!?」


「ママぁ……どこぉ……?」


うずくまって泣いている女の子にかけよると女の子の目線の高さまでしゃがみ込む。


泣いているせいかまともにコミュニケーションは取れないけど、
その口ぶりからどうやら女の子は母親とはぐれたようだ。



「大丈夫!お母さん探してあげるから!」


まずは安全なところに逃げなきゃ!

そういって少女を立ち上がらせ、秋くんたちが先に行ったのを確認すれば
自分たちも逃げようと急ぐが……既に遅かった。




「嘘、でしょ………」


獲物を射抜く鋭い眼光。

滴る唾液、光る牙。



蜘蛛男はひとまわり大きい個体を含めて10体ほどにふえていた。


しかも既に取り囲まれもはや逃げ場もない。


ジリジリと蜘蛛男の群れが迫ってくる。




「助けて……ママぁ………」


「どうしたら………!」




怯える女の子を抱きしめつつもどうすれば助かるか必死に考える。



この子だけでも護らなきゃ………

考えろ俺…………この状況を打破するアイデアを!



考えろ……考えろ………


……しかし、焦れば焦る度、答えは出ない。



全く答えなんて出なかったんだ。
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