Phase.7 復活─過激にいこうか─

フォルスは引き抜いた生首を地面に叩きつけ踏み潰す。
強化スーツによる筋力が増加した脚によふ踏みつけにより、イカのアンゲロス……いや、それに変身させられていた人間の脳髄や目玉が鮮血と共に散らばった。



「うっ……!」


その光景を目の当たりにして俺は吐き気を催し口元を抑えた。

胃からものが逆流し、喉元まで来ていた。




「ほぉ……。あの時の子供か……」


俺の出した声に気づいたのか、奴は俺の存在に気付きバスの中へと入ってきた。



「まさかこんな所にいたとはな……」


《KILLER BEAM CROW ACTIVE!》


「さて、この間の続きといこうか……!」



──“この間は邪魔が入り始末し損ねたが今度は違う”といったところか。

フォルスは巨大な鉤爪を構えると生身の俺にその巨大な鉤爪を振り下ろす。



「うわぁっ!」


間一髪でそれを避ける。

シートがビームの巨大な鉤爪よりに引き裂かれ、ビームの熱によりシートが焼け、焦げた匂いが辺りに充満した。



もし避けきれなければ自分もあのシートのようになるのか……。

額に冷や汗が吹き出ていたのが感じ取れた。




「どうした……?何故逃げる?

言ったはずだ……ベルトオーナーである限り戦いは続くと!」


「違う!俺はもうベルトオーナーなんかじゃ……!」


ベルトを手放した自分はもうベルトオーナーなんかじゃない。

それは事実のはずだ。

だが、奴の攻撃が止むことは決してなく、むしろ攻撃の勢いは増すばかり。


ギリギリで回避を続けているが、これもいつまで持つかわからない。



「うわぁっ!」

何かにつまづき、思いっきり地面に叩きつけられた。


万事休す。奴にとってはこれ程好都合なこともないだろう。




「これで終わりだな……!」


眼前には迫るフォルス。

もう…………逃げ場はない。




「死ね……!」


そして容赦なく鉤爪が振り下ろされた。






「……ここまでか………!」



今度こそもうダメだ……。



恐怖から目をつむった。



これで俺は死ん……………だはずだ。







しかし、いつまでたっても痛みを感じない。





痛みを感じる間もなく逝ったのだろうか。








恐る恐る目を開ける。





すると目の前には………。



















「……よぉ、待たせたな……ミィ」


緑色の装甲にビームで構成されたマフラーと触覚。


後ろ姿だがハッキリとわかる。

プライムと瓜二つな目の前の戦士が奴の攻撃を受け止めたのだ。






「アキくん!!」


緑川 秋。セグンド。

俺の友人にして、あかりんの言う仮面ライダーに最も近い男。



その男が、俺を救ったのだ。
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