Phase.7 復活─過激にいこうか─

───キキーーーーーーーッ!!




しばらく走っていたが、いきなり急ブレーキと共にバスは停止、車内は騒然となる。


バスの目の前には怪物。

しかも、イカのような姿をしたグロテスクな奴。

………またアンゲロスか。



イカのアンゲロスはバスのドアをぶち破ると車内に入ってきた。

そして、運転手を長い腕で捉えると文字通り捕食する。




「きゃぁぁぁぁぁぁ!」


「くるなぁぁぁぁぁ!!」



その光景をみた乗客たちは一瞬にしてパニックとなり、反対側のドアに我先にとバスから降りようとする乗客たちが殺到する。




「……どうしよう……どうしよう……」


あの大男との戦いにより恐怖心にとりつかれ戦えなくなった俺はベルトを秋くんに預けたまま過ごしていた。



パニックになりながら、俺はカバンから携帯を取り出していた。


情けないことに自分じゃ何も出来ない。

立ち向かう勇気すらない。


だから…………




「もしもしアキくん!?大変だ、怪物が……!」


───秋くんに連絡するしかなかった。


ただ喰い殺されるだけなのは分かってる。

でもこんなことをしている間に生身でも自分が戦って犠牲になれば少しでも誰かが助かるなら。


そんな自己犠牲すら厭わない幼少期に憧れたヒーローの姿が頭を過るのに、体は動かない。


そんな自分が情けなくて仕方なかった。




『わかったすぐいく!』


秋くんも秋くんで場所もロクに聞かず、一言そういえば電話を切ってしまう。



「アキくん!アキくん!………どうすれば……!」


仮に秋くんが到着するにしても時間がかかるだろうし、自分たちは車内に閉じ込められている。

目の前の怪物に食い殺されるのも時間の問題だろう。




────まさに絶対絶命。


しかし、その時であった。




「うおぉぉぉぉぉぉぉぉ!!」


窓ガラスを突き破りあの大男の変身する戦士…………フォルスがバスの中に飛び込んで来たのだ。
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